南極でペンギンを見たいので、ゴルフは引退します

ゴルフをやめると決めた。

 

大学1年で始めたゴルフ、惰性で続けてここまできたけど正直ハマりきれなかった。流れていく時間とお金に見合うだけの情熱を持てなかった。ゴルフって鈍る速度が速いから、やるならとことんやりたい。でも今の熱量で微妙な距離感で関係を続けるくらいなら、いっそキッパリお別れしよう、そう腹を決めた。

 

ゴルフにハマる人には、3種類いると思う(超偏見)。

(1)ゴルフ特有のコミュニケーションを楽しめる人

ゴルフはスモールトークの大会だ。順番にティーショットを打つ時、カートに乗っているとき、同じ方向に飛んだボールまで歩くとき、合間合間で短い会話をする機会が1ラウンドに200回くらいはある。天気いいですね、スギが多いから花粉症には堪えるね、午後イチだから体が回ってないねとか、ラウンド中はそのくらいの軽い温度のコミュニケーションがふさわしいし、そういう話題を出せる人は気が利いていてステキだ。しかし私はこの会話が不得手だ(キライではない)。

まず負けず嫌いなので競技に集中して会話を忘れてしまうことも多いし、話が長い私は腰を据えて長尺で会話する方が向いていて、30秒でできる話題は18ホールも持たずにネタ切れする。口数が少なくなった私は、ラウンドが終わった浴場で友人と正対したときに、文字通り水を得た魚のように舌が元気に泳ぎだし、帰りのドライブではもっと勢いづく。振り返ると風呂とドライブを楽しみにラウンドに行っていた気もする。

このスモールトークの大会はハマる人とハマらない人がいて、私はあまりハマらなかった。

 

(2)何かしらのスポーツをやりきった人

大学まででバスケやサッカーなど、メジャースポーツをやりきった人は、社会人になるとスポーツ隠居生活に入る。そんな時にちょうどいいカロリーなのがゴルフだ。今となっては激しい動きを求めていないが、体への感覚が鋭いかつてのアスリートたちは筋肉をいかに同調させて精緻なスイングをするか、そこに奥深さを見出してゴルフにハマる。意図した筋肉の動きに体を従わせていくという意味では、筋トレにハマるのと同じ理屈だと考える。

自分はストイックにスポーツをやってこなかったので、息があがるくらいの激しい動きをすること自体に新鮮な感動がある。ゴルフに落ち着くのはまだ早い。

 

(3)貴族の遊びをしている感覚そのものを楽しめる人

お金があってゴルフができるからやる。それくらいの温度で続けている人も意外と多い気がする。何か趣味を作ろうと思ったときに、予算内で上から見ていったらゴルフがあったという単純な動機。あるいは付きあいに必要だからというタイプ。いずれにせよ、お金があるから使うのも、敷居の高いフィールドで繋がりを維持するのもかなり貴族的な営みだ。優越感とかお金を使うこと自体の快楽を楽しんでいる人は一定数いそう。

私もかなり金遣いが荒いから、この感覚はわかる。ただオーロラとか南極でペンギンを見るのに、まとまったお金と時間を使いたいと最近思い始めた。

 

 

自分の頭の整理のためにも駄文を連ねたが、こういうワケでゴルフを引退する。宣言した方がキッパリ辞められそうだという計算も少しある。

ゴルフを好きで続けるのは最高だし、ハマるか分からないからとりあえずやってみるのも素晴らしいと思うので、ゴルフを下げる意図は全くありません。私の場合は大学からしばらく触れてきて楽しかったけど一段落着いたというだけ。

 

一番の本音は、ゴルフを続けると自分の人生が固定化されそうで怖くなったから。

時間とお金がないまま付きあいは増えて、自分がやりたいこととか考えるスキマがなくなって、海外旅行とか読書とか視野広げるためにエネルギー割かなくなって、いつかそんなことも気にならなくなって、愛する家族と変わらない日常で幸せ。

ゴルフを続ける判断をしたら、こんな素敵な未来の線だけがグッと濃くなる気がして恐ろしくなった。若い私はもっと夢を見ていたい。

 

ただ私の考えはコロコロ変わるので、いつかしれっと再開しているかもしれない。その場合はラウンド中に200回イジる機会があるので、活用してくれたら嬉しいです。