望まれない弁当 〜雑に食べてごめん〜

この頃私は「nosh(ナッシュ)」という、サブスクの冷凍弁当に助けられている。

 

疲れて家に帰ったあとも、レンジのボタンを押す体力さえあれば、それなりに栄養が整って、まともな味の夕食が一丁あがりだ。牛丼屋に行くより遥かに楽チン。

 

ただ少しネックなのは、絶妙に量が少ないことだ。
お弁当ひとつで0.7食分くらい。これだけでは足りないが、お味噌汁でもあればちょうど満足できるほどの絶妙な量。

 

しかし、今日の私はインスタントのお味噌汁を作るのさえ面倒だった。ナッシュのお弁当1つを平らげても満たされない私は、無意識に2つ目を開けてレンジのボタンを押していた。

 

やっちまったか。

 

軽い気持ちでボタンを押したが、この5分は私を冷静にさせるのに十分な時間だった。待っている間にも、じわじわ腹は膨れていく。

 

もう要らないよ、とカラダの内側から声がする。
だったら先に言ってくれよ。満腹感と高校同期はいつも遅れてやってくる。

 

1食目のときに汁物さえ用意しておけば、きっとそこで立ち止まれただろうに。ケトルに水を入れることさえメンドくさがった過去の自分を呪う。

 

チーン。

望まれない音が鳴って現れたのは、さっきまで静かだったくせに急に湯気をたてて、はしゃいでる弁当。私はそこそこ美味しくて、大してありがたみのない塩だれペッパーチキンを、真顔で胃袋に流した。

 

ナッシュのお弁当は2つも要らないし、汁物はないよりあった方がいい。

今後の私はナッシュひとつをチンしながら、お湯を沸かしてお味噌汁を用意すべきだ。

 

(弁当, 汁物) = ( 1, 1 )

これをナッシュ均衡と呼ぶ。